タウンワークという門

私が庭師という職について、50年以上が経とうとしている。

庭師という特殊な職業ではあるが、毎年この職に就きたいと
志願してくる若手は尽きず、技術だけではなく生き方、在り方までも
教育し、まるでわが子のような弟子たちが何十人と生まれてきた。

ある日、タウンワークという地域情報誌への掲載依頼があった。
恥ずかしながら私はタウンワークの存在自体も知らずにいたが、
最近の若者はこうした無料情報誌で職探しをしていることもあるんだとか。

先に書いたように、私はこれまで「人」としての教えをたくさんしてきた。
私の教えが正しいかどうかは分からない。けれど少なくとも、これまで
私の門を叩いてきた彼らは、人づてに私の存在とその教えを聞き、
賛同し弟子となってきた。それが功を奏し、彼ら全員を一人前の庭師に、
人に育て上げることができた。

しかし、タウンワークに掲載している、初めて聞く庭師の門を
叩く人はいるのだろうか?いささか疑問である。そんな理由から掲載依頼はお断りした。

聞くと、タウンワークという情報誌は地域密着型の求人誌で、
だからこの地に根付いている私にも声がかかったのだと思う。ありがとう。
けれど、覚えていてもらいたい。私は多くの出会いは求めていない。
限られた小さな縁だけでよいのです。